質量と重さの違い
質量と重さの違いは、次の通りです。
「質量」 … 物体そのものの量。
「重さ」 … 物体にはたらく重力の大きさ。

質量と重さの違いは分かりますか?



重さはなんとなく分かりますが、質量がよく分かりません。



では、質量について詳しく説明しますね。
質量とは



質量を理解するために、先ず質量がどのようにして出来たかを説明します。
質量は、1795年にフランスで定められました。定められた内容は、次の通りです。
・質量の単位はkgとする。
・水1Lの質量を、1kgとする。
(4℃における最大密度とする。)



質量は水で決められていたのですね。



そうです。実際には水1kgにつり合う分銅が作られ、この分銅が質量1kgの基準となりました。
質量の測り方



質量は、天秤を使って測定します。1kgに天秤でつり合うものが1kgの質量を持つ物体です。





当時のフランスでは、水1Lに吊りあう分銅を天秤で測りながら作ったのですか?



その通りです。質量に関する考え方は以前からありましたが、ここで明確に定義されました。
国際キログラム原器
1889年、質量の基準として1kgの国際キログラム原器が作られました。プラチナとイリジウムの合金で作られた円筒形の物体です。これが長い間、質量の基準として重要な役割を果たしてきました。





地球で測定した1kgのこの原器が、質量の正体だったんですね。



そうです。国際キログラム原器の質量が1kgであるという事実は、どこであっても変わることはありません。



地球での測定を基準としているので、1kgの分銅は宇宙でも1kgであることに変わりはないということですね。
重さとは



次は重さについて説明します。
重さとは、物体に作用する重力の大きさのことである。



なんとなく分かりますが、質量とどう違うのですか?



重さは力です。その点が、質量との大きな違いです。単位も異なります。
重さの単位は、kgfまたはNが使用される。



昔はkgfが良く使われていましたが、今はNが主流です。
体重を月で測定する場合



重力による違いなので、地球と月の場合で考えてみましょう。
月の重力は地球の1/6であるため、重さは1/6となる。



月で60kgの人が体重計に乗ると、10kgと表示されます。



月は重力が小さいから、体が軽くなるんですよね。



その通りです。重力に合わせて体重も1/6になります。



質量はどうなるのですか?
質量は、場所に関係なく一定である。



月で天秤を使って1kgの分銅に吊りあう質量がいくつになるか考えてみてください。



1kgの分銅に吊りあうのは、1kgの分銅ですね。



その通りです。重さは月では軽くなりますが、質量は変わることはありません。



宇宙ではどうなるのですか?



宇宙では無重力なので重さは0kgfですが、60kgの人の質量は宇宙でも60kgです。



体は軽く感じても、60kgの人が60kgであることに変わりはないのですね。
運動の第二法則



さらに理解を深めるために、力と質量の関係について理解しましょう。
力は、次の関係式で求めることができます。
F=m×a
F : 力(N)、m : 質量(kg)、a:加速度(m/s2)



質量に加速度をかけると力が求まります。では次の問題を考えてみてください。



質量がmで、力がF。重さは力だから、Fが重さですか?



そうですね。地球では常に重力加速度が作用しています。その加速度が9.8m/s2なので、質量に重力加速度を掛けたものが重さです。
地球の重力による力
地球では、重力によって常に加速度を受けています。これを重力加速度といい、その大きさは約9.8m/s2です。重力加速度をgとすると、運動の第二法則は次のようになります。
重力加速度をg(m/s2)とすると、地球上で物体が受ける力(重さ)は、次の式で求めることができます。
F=m×g



質量に重力加速度を掛けると重さになります。



質量と重さは全然違うものなのですね。



そうですね。重さは力ですが、質量は力ではありません。単位も異なりましたね。地球で体重に乗る場合は質量も重さも同じ値なので混乱しやすいですが、違いをしっかり理解しましょう。
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