この記事で理解したいこと
- N、kgf、kgの違い
- 1kgf=9.8N (式の意味)
N、kgf、kgの違い
N、kgf、kgの違いは以下の通りです。
単位 | 意味 | 単位系 |
N | 力 | 国際単位系 |
kgf | 力 | 重力単位系 |
kg | 質量 | 国際単位系 |
kgは「質量」、Nとkgfは「力」の単位です。力と質量の違い、単位系の違いを順に解説していきます。
ニュートンの運動方程式
「質量」と「力」の関係を先ず理解しましょう。ニュートンの運動方程式を使って説明します。
F = ma
F(力)=m(質量)×a(加速度)
「質量」に「加速度」を掛けたものが「力」であることが、ニュートンの運動方程式から分かります。もう少し詳しく説明します。
質量と力
ここで、次の問題を考えてみてください。
床に置かれた質量1kgの物体にはどれだけの力が働いているでしょうか。

答えは、国際単位系と重力単位系で異なります。
正解は、1kgfです。
重力単位系では、床が1kgの物体から受ける力(重量)が1kgfです。
重力単位系には質量という概念がありません。質量がそのまま重量となります。
正解は、9.8Nです。
国際単位系では、重力の影響が含まれていないので、質量1kgに対し、重力加速度9.8m/s2を掛ける必要があります。
F=maの式から、
F=1kg×9.8m/s2
=9.8kgm/s2
ここで、kgm/s2はNに置き換えることができます。
よって、F=9.8Nと求まります。
1kgf=9.8N(式の意味)
重力単位系と国際単位系の違いは理解できたでしょうか。まとめると、以下のようになります。
質量1kgの物体が落下する場合の力は、
重力単位系では、1kgf
国際単位系では、9.8N
どちらも1kgの物体に作用する力なので、=で結ぶことができます。すると、以下の関係が求まります。
1kgf=9.8N
式の意味が理解できたでしょうか。どちらも質量1kgの物体が落下する場合を表していますが、1kgfは重力単位系で既に重量の影響を考慮しています。9.8Nは国際単位系で、重力の影響は含まれないので、重力加速度を掛ける必要があります。
補足
ここからは補足です。ピンと来ない方のために、別の角度から考えてみます。
1Nってどれくらい?
kgは体重計で質量を知ることができますが、Nの質量のイメージは付くでしょうか?これを知ることで、様々な問題の理解を深めることができます。
1Nの力を床に及ぼす物体の質量は何kgでしょうか?
1Nは約0.1kgです。
コンビニのおにぎりが100g程度なので、おにぎり1個分と考えると分かりやすいと思います。
ニュートンにちなんで、小さなリンゴでイメージしても良いですね。
1kgfと比較すると、1Nはずいぶん軽いですね。
上の関係を式で求めると、次の通りです。

重要なポイント
ここが混乱しやすいポイントです。くどいようですが、しっかり理解してください。
「質量」1kgの物体に重力が作用して働く「力」が1kgfです。この「力」をNで表すと、1kgf=9.8Nです。
kgとkgfは「質量」と「力」なので、別物です。ここを混同しないようにしましょう。
kgは国際単位系で「質量」、kgfは重量単位系で「力」です。単位系が異なります。
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